「分子軌道計算ソフトを走らせると他の作業ができなくなる」といわれますが、Mac版GAMESSは多数の計算を並行して行わない限り、計算中でも通常の作業を軽々と行うことができます(もちろんCPUは計算中常にフル稼働しています)。
1. GAMESSのインストールと設定
まずはhttp://www.msg.chem.iastate.edu/gamess/からGAMESSを入手します。MacOS X, インテルCPU, 64ビット版がベストかと。
↓入手した"gamess-OSX.Current.x86-64.tar"を解凍します。ダブルクリックでOK。
↓gamessフォルダが生成されます。"アプリケーション"フォルダにでも移動しておきましょう。
↓gamessフォルダの中にあるGamessQ(こいつがジョブ管利用のソフトです)を起動します。
↓初めて起動するとこのような設定を求められるかもしれません。求められなくても、GamessQ-Preferencesから設定を。
↓"Spool Directory"…GAMESSが吐き出すログや一時ファイルを保存するフォルダです。デスクトップ上にフォルダを作っておくと良いかもしれません。
↓"GAMESS Path"…gamessフォルダを指定します。
これでGAMESSの設定は完了です。ここまでは一度行うだけでOK。
2. 分子のモデリングと入力ファイルの作成
ベンゼンを例に。
Avogadroはhttp://avogadro.openmolecules.net/wiki/Main_Pageから入手できます。まだ少しバギーでたまに落ちます。Avogadro上でGAMESS用の入力ファイルを作成することはできますが、私はAvogadroで作成した座標データファイルに予め作成してあるパラメータファイルを貼付けてGAMESS入力ファイルとしています。手順は以下の通り。
↓Avogadroを起動します。
↓適当にベンゼンを描きます。
↓ジオメトリ最適化を行います。「美しい」構造になっていなければもう一度ジオメトリ最適化をして美しくします。
↓ファイルとして保存します。
↓保存形式は“GAMESS インプット (*.gamin)"でいいと思います。
↓このようなファイルができます。
↓拡張子を"gamin"から"inp"に変更します。OSが何か言ってきますので、"'.inp'を使用"を選びます。
↓拡張子が変わりました。
↓テキストエディットでファイルを開きます。"開く…”からでもdrag&dropでも良いですが、ダブルクリックで開くのは避けた方がいいと思います。
↓GAMESS用のミニマムなパラメータと原子の座標データが入っているのがわかるかと思います。最初の1行は不要なので…
↓予め別のテキストファイルで作成しておいたGAMESS用のパラメータをコピーし…
↓ペーストして置き換え、保存します。
これで入力ファイルが作成できました。
3. GAMESSで計算実行
↓作成した入力ファイルをGamessQにdrag&dropするか、GamessQを起動し、"Add"から入力ファイルを開きます。
↓"Processors"を指定します。CPUのコア数と同じにしておくのが無難かもしれません(計算中もWordやExcel、Webブラウザ等はストレスなく使えます。)。数値が大き過ぎると重い作業がしずらくなるかも。
↓ジョブが追加されました。既に走っているジョブがなければ、すぐに計算が始まります。
↓計算が実行されているかどうかは、"Status"カラムでチェックできます。
"Runnung"が計算実行中、"Pending"が実行待ち、"Paused"が一時停止、"Done"が計算終了、"Canceled"がキャンセル済み、"Error"がエラーでストップ、です。
計算の進み具合は、GamessQの"Spool Directory"で指定したフォルダの中にある"log"という拡張子のファイルをMacMolPlt (http://www.scl.ameslab.gov/MacMolPlt/)にdrag&dropするかテキストエディットで開くかすれば確認できます。
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